「地域産品の高付加価値化・海外展開推進のための実証調査事業」という、長い名前の制度があります。
地域の特産品を、海外に売り出したい事業者を後押しする、国の取り組みです。
この記事では、どんな制度で、誰が対象になるのかを、正直にお伝えします。
はじめに:これは「補助金」ではありません
最初に、大事なことをお伝えします。
この制度は、よくある「補助金」とは少し性質がちがいます。
正式には「委託事業(いたくじぎょう)」と呼ばれるものです。
国から事業を引き受けて、海外展開の取り組みを実施し、その費用が「委託費」として支払われる仕組みです。
「自分の好きなことに使えるお金がもらえる」という補助金のイメージとは、少しちがいます。
そこだけ、先に知っておいてください。
どんな会社が対象?(正直に絞ります)
この制度は、すべての中小企業向けではありません。
次のような事業者に向いています。
- 地域の特産品(食べ物、工芸品、雑貨、アート作品など)を扱っている
- その産品を、海外、とくに富裕層の市場に売り出したいと考えている
- 3,000万円規模の事業に取り組める体制がある
逆に、地元向けの商売が中心の方や、海外展開はまだ考えていない方には、今回の制度は合わないかもしれません。
無理に当てはめず、「うちは対象かな?」と考える材料にしてください。
対象になる産品
対象となるのは、次の3つの分野の産品です。
- 美術工芸品(アート作家の作品を含む)
- 工芸品・雑貨(一定の品質や機能性があるもの)
- 食全般(輸出の安全管理や表示基準を満たすもの)
1回の申請につき、原則3〜4産品くらいまでが目安です。
いくらまで?(委託費の上限)
申請には2つの区分があり、上限額がちがいます。
- 区分①:高付加価値化・海外展開の取り組み → 1申請につき原則 3,000万円(税込)まで
- 区分②:①に加えて、自治体などを含む地域一体での取り組み(コンソーシアム)→ 原則 5,000万円(税込)まで
金額は大きいですが、その分、求められる取り組みの内容も本格的です。
「海外の富裕層に向けて、本気で売り出す」事業を想定した制度です。
申請の方法と、GビズIDについて
申請は、事業のホームページにある申請フォームから始めます。
そのあと、案内されるメールにそって、書類を作って事務局にメールで提出します。
GビズID:不要
この制度は、補助金の電子申請サイト(jGrants)を使いません。メールでの提出なので、GビズIDがなくても申請できます。
対象になる費用・ならない費用
委託事業なので、「何にお金を使えるか」がはっきり決まっています。ここが申請でいちばんつまずきやすいポイントです。
使える費用の例
- 展示会・商談会の会場費、海外渡航の旅費(実費)
- PR・実証に使うサンプルの製作費
- 専門家への謝金、海外向けWEB・越境ECの構築(活用・検証の計画込み)
使えない費用の例(要注意)
- 商品の開発・改良そのものにかかる費用
- 事業のあとも使える設備・物品の購入
- クラウドファンディングにかかる費用
- 単なる飲食の提供/委託費で運んだ産品を、その場で販売すること
※外部への再委託・外注は、原則「全体の50%以内」。発注先は原則3社の見積もりで選びます(むずかしい場合は選定理由書を用意)。
「高付加価値化」の目安は?
この事業のねらいは、海外の富裕層に向けて、産品の価値を高めること。価格の目標は「いまの国内価格の3〜5倍以上」が基本とされています。
大事なのは「なぜ高く売れるのか」を、産品の特徴や市場性から説明できること。むずかしく考えず、まず事務局に相談するのもおすすめです。
スケジュール
- 公募期間:2026年5月25日〜6月26日(17時必着)
- 採択の発表:2026年8月下旬ごろの予定
- 事業の期間:契約してから2027年1月31日まで
締め切りまで、あまり日にちがありません。
気になる方は、早めに公式サイトで詳しい条件を確認することをおすすめします。
まとめ
- これは補助金ではなく「委託事業」(国から事業を引き受ける形)
- 対象は、食・工芸・アートなどを海外の富裕層市場に売り出したい事業者
- 委託費の上限は3,000万円または5,000万円
- GビズIDは不要。申請はメールで提出
- 締め切りは2026年6月26日。気になる方は早めに確認を
大きな制度なので、すべての方に当てはまるわけではありません。
でも、「海外に出してみたい産品がある」という方には、検討する価値があります。
まずは、自社の産品が対象になりそうか、確認してみましょう。
※この制度の内容や締め切りは変わることがあります。また、公募が終了している場合もあります。申請を検討する際は、必ず公式サイト(内閣府 地方創生「地域産品の高付加価値化・海外展開推進のための実証調査事業」)で最新の情報をご確認ください。